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「国際水星探査計画ベピコロンボ」(2020年5月10日更新)

今回は、地球と同じ太陽系の惑星のひとつ、水星について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と欧州宇宙機関(ESA)が共同で行っている国際水星探査計画「ベピコロンボ」についてお話します。

▲水星探査機「メッセンジャー」が撮影した水星
(C) NASAJohns Hopkins University Applied Physics LaboratoryCarnegie Institution of Washington

▲BepiColombo計画水星磁気圏探査機「みお」(MMO)の観測イメージ
(C) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

●水星について

水星の存在は、紀元前から人類に知られていました。太陽系では、太陽に最も近い惑星なので、表面温度は昼間430℃、しかし、大気が無いため夜間は、-180℃という温度差のある過酷な環境です。また、月と同じようにクレーターに覆われた地形を持っています。水星は1枚の岩盤プレートによって覆われており、これが縮むことで表面に歪みができ、シワ状の尾根と波打った断崖が作られます。最近では、水星は約38億年間で最大14キロ縮んでいることが明らかになりました。現在でも「固有の磁場」や「密度が非常に高い」、「中心核が水星全体の4分の3を占める」といった解明されていない謎があります。

●水星は辿り着くのが困難な惑星

水星と地球は近いように感じられるかもしれませんが、惑星探査において、非常に難易度の高い惑星です。これは、太陽に近いため、強い重力の影響で探査機が加速してしまうことや、水星の重力が小さいので接近するだけでは周回軌道に乗ることができないなどの理由が挙げられます。水星に到達するためには膨大なエネルギーが必要です。これを解決するのが、他の惑星の重力を使い、探査機の進行方向を変えたり、加減速する「惑星スイングバイ」です。

●ベピコロンボ計画について

この探査計画は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)による水星磁気圏探査機「みお」と、欧州宇宙機関(ESA)による、水星表面探査機「MPO」の2機を同時に水星周回軌道へ送り込み、総合的な観測を行うことが目的です。2018年10月20日にギアナ宇宙センターから打ち上げられ、日本時間2020年4月10日(金)13時24分57秒に地球スイングバイが行われました。これが水星への道のりで地球に接近する最初で最後のタイミングでした。また、この時に「みおをみおくろう」というキャンペーンがあり、各地で「みお」の観測が行われました。今後の予定では、7年後の2025年12月に水星周回軌道へ投入することになっています。ちなみに「ベピコロンボ」という名前はイタリアの天体力学者ジュゼッペ・コロンボ(1920-1984)にちなんで名付けられています。これまで水星に近づくことができたのは、マリナー10号とメッセンジャーの2機だけですが、ベピコロンボ計画では、水星周回軌道に探査機を送り込むために、合計9回の惑星スイングバイを予定しています。これは惑星探査機としては、史上最多の回数です。また、水星周回軌道へ辿り着くのに7年という歳月がかかるのは惑星スイングバイの待ち時間が含まれているためです。

より詳しい情報は、水星磁気圏探査機「みお」(プロジェクトページ)へ:http://mio.isas.jaxa.jp