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「金星」(2020年4月19日更新)

この時期、宵空に金星が輝いています。
今回は「地球から見る金星」と「宇宙にある金星」という2つの観点から話をしたいと思います。

金星

▲右上の明るい星が金星です
撮影:臼井圭一郎(山梨県立科学館)

●地球からみる金星「宵の明星」

金星は2020年5月ごろまで日の入り後「宵の明星」2020年7月~2021年2月にかけては日の出前「明けの明星」として観察できます。

今の時期は夕方の西の空に「宵の明星」として見えています。とても明るいので1番星としても容易に見つけられると思います。どうして金星は明るく見えるのでしょうか。それは金星の上空を切れ目なく覆っている雲が太陽光をよく反射しているからです。地球の雲は主に水でできていますが、金星は濃硫酸でできていると考えられています。

地球・金星・太陽の位置関係によって、金星は月のように大きく満ち欠けして見えます。望遠鏡や倍率の高い双眼鏡などで観察するとよくわかります。5月に入ると金星は高度を下げ、5月22日には夕方西の空で水星に近づいている様子を観察できます。金星を目印にして水星を見つける良いチャンスになるでしょう。

ステラナビゲータにて作成

ステラナビゲータにて作成

●宇宙にある「灼熱地獄の星」

金星は地球の1つ内側を回る惑星です。大きさや密度は地球と同じくらいで「双子の惑星」と呼ばれることもあります。金星は二酸化炭素を主成分とする厚い大気を持っていて、それによる温室効果のため熱が閉じ込められています。地表付近は470℃、気圧は90気圧に達します。470℃とは太陽により近い水星よりも高温です。90気圧とは水深約900mの海底に相当します。高温・高圧な環境だけではなく、硫酸の雨も降ります。しかし、地表付近は昼夜問わず高温なため地表に達するまでに蒸発し硫酸ガスになってしまいます。上空には時速400kmの「スーパーローテーション」という暴風が吹いています。これは金星の自転速度の60倍に相当し4日で金星を一周してしまいます。

金星はローマ神話においては愛と美の女神「ウェヌス(ヴィーナス)」とよばれますが、その名前に反して灼熱地獄の過酷な環境が広がっているのです。